すでに秘境にあらずか、和名倉山

【期日】 ’07年12月01日(土)
【天候】晴
【形態】単独
【コース】秩父湖大洞川吊橋700→(登尾沢往復)→915電波反射板跡→1000造林小屋跡地(水場)→1100笹ヤブ終了点→1150笹ッ場→1155北天ノタル→1220二瀬分岐→1225千代蔵の休ン場→1230和名倉山1310→1430造林小屋跡→1520反射板跡→1610つり橋 総行動時間 9時間10分(休憩込)

和名倉山(わなくらやま、地形図上白石山の表記)2,036mは、独立峰としては埼玉県最高峰にして200名山に名を連ねている。が、何故かいままで登高意欲が湧かなかった。ヤブ山、秘境などという形容詞が潜在意識としてこの山を避けさせてきたのかもしれない。しかし、埼玉県民として、一度は登っておくべきと機会を伺ってきた。調べると、近年南からのルートが整備され、山梨の三ノ瀬からは多くの登山者がこの和名倉山を訪れているようだ。しかし、それでは簡単すぎて面白くないし、埼玉県民としては埼玉に固執したいわけで、今回は秩父湖から二瀬尾根(ふたせおね)ルートを辿ることにした。それに、ヤブ山は下山の方が道迷いの危険性がより高いので、まずは登りを経験しておきたかったのだ。

和名倉山については、風の谷さんのサイトの『この山はかつては全山をコメツガ、シラビソ、モミ等の巨樹が覆う鬱蒼たる原生林の山でした。1950年代を皮切りに、高度成長期の直前まで、戦後復興の木材需要のかなりの部分を皆伐方式と呼ばれる伐採に継ぐ伐採で丸裸になるまで徹底的に行われました。所々に点在した放置された太いワイヤーや朽ち果てた大きな造林小屋の跡、森林軌道のレール等はその時代の遺物です。...』という一文を紹介する。その他、大方のサイトで見られるのは、『山頂は展望が無い』、『笹薮が延々と続く』、『遭難』、『反射板』等のキーワードだ。一体、どんな山なんだろう?だんだん興味が湧いてきた。



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GPS GARMIN MAP60CSxのトラックデータです。
登りだけのデータで、記録間隔は30秒です。
二瀬分岐から和名倉山へのコースが、地形図と明らかに異なるが、
GPSが正しいです。


7:00 埼玉大学山寮の先の駐車スペースを出発。小道を一旦埼大山寮の裏へ向かい折り返して吊橋へ向う。秩父湖の紺碧の水面が美しい。長い吊橋を渡り終えた突き当りに標識。『登山道行き止まり』とかかれている左へ向う。100mほどで、スギ林の中、道が二手に分かれる。杉の根元に、壊れかけて墨も薄くなった『テープを巻かないで下さい(地主)』の小さい木製標識。ここを右方向へ斜めに登るのが、昭文社の「山と高原地図」に紹介されているルートだ。しかし、2001年頃は、ここをまっすぐ行って登尾沢の滝の下を過ぎ、その先の登尾沢と石津窪の間の尾根を1369m峰目指すルートが紹介されている(下記サイト)。見に行ってみると、滝の先で完全に踏み跡は消えている。もう少し先まで行ってみれば又踏み跡は見つかるかもしれないが、すぐ断念して山と高原地図のルートに戻る。薄暗い植林のスギ林の中、ジグザグに登ると尾根に出た。ここからは秩父湖が見渡せる。そこから尾根を1369m峰目指して急登する。左は杉の植林帯、右は自然林。
http://tabitabi.web.infoseek.co.jp/yama/20010501wanakura/20010501wanakura_01.htm 2001年
http://www.sky.sannet.ne.jp/halle/teppen/wanagura/wanagura.htm 残念ながら日時不明
http://wanakura.dyndns.org/html/wanakura/report/futase.htm 残念ながら日時不明



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左:大洞川にかかる吊橋、右:斜め上にいくのが正規ルート

8:20 1007mピーク通過。突然カラマツ林になる。1250m付近から1369m峰を避けて左へトラバースし始める。この辺は既に植林では無く、ブナ,カエデなどの落葉樹が優勢の自然林で明るい雰囲気の中を歩く。

9:15 電波反射板跡に出る。秩父湖の周りの集落と三峰神社辺りの建物がよく見える。反射板を楽しみにしていたのに撤去されたとは残念だ。ところで新反射板なるものが別の場所に存在するらしい。その位置については、両神山と大洞川(おおぼらがわ)になみならぬ精力を注いでおられるすーじーさんのサイト(すうじいの時々アウトドア) の概念図に記載されている。次回確認したい。ところでこの電波反射板だが、下山時二瀬ダム管理事務所屋上のマイクロ ウェーブのアンテナが反射板を向いているのに気が付いた。数日後、関係があるかどうか事務所に電話で聞いてみたところ、やはり山間地で防災無線が遠くまで届くよう反射板を使っているそうだ。それ以上詳しいことは直接二瀬ダム管理事務所へどうぞ。



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電波反射板跡、景色が良いところ

ここから道は昔の森林軌道跡を辿り造林小屋跡まで水平移動となる。最初の内こそ広くて歩きやすい道だったが、そのうち崩落で狭くなったり、笹が生い茂っている個所が多くなる。

10:00 造林小屋跡地に到着する。大量の鉄のレール、車輪、ケーブル、台車の残骸が散らばっている。更に進むと沢沿いには、生活臭の漂う一升瓶や瀬戸物のかけらが大量に散乱していて少し興ざめだが、なにか歴史を感じさせる。『強者どもの夢の跡』というかんじか。ここは沢沿い上へいくとすぐ水場となる。ここから先は和名倉山の先(未確認)まで水場が無いので、ここで水を補給する。苔むした石ころの多い沢をジグザグに登っていくと、赤い旗がぶら下がった木があるが、ここから噂のスズタケの笹ヤブ街道が開始だ。


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左:造林小屋跡、この先の沢沿いに水場がある。 右:赤旗があるこの辺からスズタケのヤブが始まる。

まず、ここから尾根まで急登だ。滑りやすい道なので笹の根っこを使って体を引っ張り上げる。道ははっきりしているので登りでは道迷いの心配は要らない。この時期ほとんど蜘蛛の巣に煩わされることも無い。しかし、朝露で濡れるのでレインコートの上を着る。スズタケは背が高いので、下より上が必要だ。私はスパッツにレインコート上着といういでたちだった。笹に顔を叩かれるし、不意に現れる木の枝に眼を突付かれそうになるので、ゴーグルが欲しいところだ。やがて二瀬尾根に出て回りは明るくなるが、まだまだヤブは続いている。


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笹のヤブ路。もっと密生しているところが多い。

11:00 スズタケのヤブを抜ける。標高にして約1,700m辺り。斜度が少し緩む。一面は、ダケカンバや落葉樹にコメツガがすこしの林で明るい。すぐに、又急登が始まる。標高1,800m辺りから岩稜となるが、ここで初めて和名倉山が見えた。思わず写真を撮る。尾根の上は、コメツガ、アセビが目立つようになる。標高1,850m辺りから1,913mのピークを左から巻き始める。

11:50 突然、視界が開け笹ッ場といわれる明るい笹の広場に出る。広くは無いが気持ちの良いところで、露営には適地かもしれない。他のサイトの情報では、和名倉沢側へ3~4分下ったところに水場があるという。時間に余裕が無くて確認が出来なかったので、次回の課題としたい。周囲を見るとダケカンバ、白樺、コメツガ、モミと植生が多様であった。


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笹ッ場と呼ばれる明るい空間

11:55 笹ッ場を過ぎるとすぐ北天ノタルと呼ばれる鞍部を通過。シラビソ、モミの大木の森だ。倒木や樹の根っこにコケがびっしり張り付いて、なんともいえない幻想的な雰囲気をかもし出している。これを「風の谷」と表したサイトも見た。ある意味もっとも奥秩父的な風景とも言える。


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北天のタル

12:20 二瀬分岐到着。近づくにつれ、一転周囲は明るくなり落葉した自然のカラマツ林となる。どこでも、歩けそうだ。これでは天候が悪くなると、道迷いは当然のような気がした。しかし、今は赤テープが頻繁に現れ、注意すればその怖れは無い。二瀬分岐は予想とは違った現れ方をした。地形図では、将監峠からの道が対向してきて、ここで90度左折すると和名倉山へ至るように書いてあるが、実際は直進が和名倉山で、将監峠からの道は何の特徴もないカラマツの疎林の右手から上がってきて合流した。合流した地点には、遭難を防止するメッセージが貼り付けてある。『迷ったら沢に下るな、尾根に上がれ』、けだし名言だな。それだけ遭難騒ぎが多いということだろうが、最近の中高年登山ブームが原因だとすると、すこし肩身が狭い。


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広いカラマツ林の中の二瀬分岐

12:25 すぐに広く開けた千代蔵の休ッ場に到着。伐採の跡らしい。南には富士山が見える。ここに野営するのも気持ちが良さそうだ。もしテントを買ったら、山梨の三ノ瀬から上がって最初のテント泊はここにしたい、と思わせる程気持ちの良いところだ。平らなところが少ないのが難だが。更に進むと、シラビソやコメツガの森になった。伐採を免れた森だろうか?


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広くて開放的な千代蔵の休ッ場。正面に富士山が見える。

12:30 和名倉山頂上2,036mに到着。途中倒木が多いが、赤テープに導かれそれをのりこえて進むと、針葉樹に囲まれた狭い空間に出た。それが頂上だ。UFOが降りてきてそこだけ木が無くなったという感じの異次空間だ。特に感動も無いので、記念写真を撮って、そそくさと千代蔵の休ッ場へもどり富士山をおかずに昼食とする。うぅ~ん、気持ちが良い。誰にも会わない、誰も来ない。ただ一人の和名倉山を満喫する。


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和名倉山頂上

13:10 下山開始。 二瀬分岐から将監峠方面へ少し戻ったところに水場へ行く道があるらしいが、やはり時間に余裕が無いので、確認するのは止めた。有るのは間違いないようだし。さて、遭難の観点から下りは気をつけなければいけない。私の見たところ3ヶ所危ないところがあるが、最初の2ヶ所には、立ち入り禁止の黄色いテープが1913mのピークを巻く途中、それからヤブに入る手前にあったように思う。3ヶ所目はスズタケのヤブの途中で、まっすぐ尾根に向う道と右へ折れて造林小屋跡へ向う道に分かれる地点。尾根に向う道は、倒木で柵がされていた。だれか壊さないことを祈る。あとは、間違うようなところは無く、滑りやすい藪の廊下を抜け(赤い旗がある)造林小屋跡へ向う。

14:30 造林小屋跡へ到着。

15:15 反射板跡地へ到着。秩父湖、三峰神社、武甲山が見えて一息入れる。

16:10 吊橋を渡る。遂に誰にも合わず往復した。帰りは、大滝温泉に入り、途中の手打ち蕎麦屋「ちちぶ路」で天ざるを食す。コシの強さ、太さ共に私の好み、艶もよくとても美味しかった。店の位置は、東経139度00分28秒、北緯35度57分31秒辺り。


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蕎麦屋ちちぶ路の天ざる ¥1,100

【総括】
●奥秩父の特徴満載の山でした。例えば、苔むした北天ノタル、倒木、スギ林、シャクナゲやアセビの群生など。その多様性と静かさが魅力かもしれない。もう一度、別のルートで登ってみたい気にはさせてくれた和名倉山でした。
●ルートはヤブがあるにしても明確。確かに引き込まれそうな踏み跡多数だが、現時点うるさいぐらいの赤テープ、リボン、立ち入り禁止(警察)テープ、くわえて自衛の柵もある。この前の皇海山の鋸山から六林班峠へ至る笹ヤブの方が危険なくらいだ。おおむね、変なテープはなかったことを報告したい。
●このルートは途中水平道があるものの、登り一辺倒で結構厳しい。

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